従来、栄養失調は低栄養からくるもので、飽食の現代人には無縁のものと思われていました。ところが近年、3食きちんと食べているのに栄養失調になる「新型栄養失調」の人が増えています。
カロリーはたっぷり摂れているのに、たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどの必須栄養素が不足している状態です。それが原因で、疲れやすい、風邪を引きやすい、貧血など様々な体調不良を引き起こすのです。
便利でおいしい現代食に潜むもの
忙しさからおにぎりやパンなどで簡単に食事を済ませたり、ランチは単品のカレーや丼もの、夜は外食…といった食生活をしていませんか?
こんな食生活では、糖質過多でたんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。
また、便利な加工食品は、ビタミンやミネラルが削ぎ落されてしまって、大半が糖質や脂質。ハムやソーセージなどの加工食品でお肉を食べているつもりでも、実は必要な栄養は摂れないのです。
さらに、パンやパスタなどの炭水化物を食べても、それをエネルギーに変えるための栄養、いわゆるビタミンとミネラルが不足していると、いくら食べても活力にはなりません。
新型栄養失調で失明?!
2019年に、英国でジャンクフードを10年以上、毎日食べ続けた17歳の少年が、栄養失調から失明したことが、英国の大学病院の報告で明らかになりました。
検査の結果、眼と脳を結ぶ視神経に損傷があり、ビタミンB12やビタミンD、銅、セレンなど様々な栄養が極端に不足していることが分かりました。
少年の食生活は、小学生以来、フライドポテト、ポテトチップス、白パン、スライスハム、ソーセージなどの加工食品ばかり食べていたそうです。
その結果、15歳の頃から目がかすむ、耳が聞こえにくいなどの症状が現れていましたが、その後も食生活を改善しなかったため、17歳で完全に失明し、聴覚も失ったと言われています。
栄養失調による視神経障害は、早期発見できれば視力が回復する可能性もあります。
しかし、この少年の場合は発見が遅れてしまったため、食生活や生活習慣を改善しても、視力の回復は難しかったのです。
新型栄養失調にならないために!
たんぱく質は、肌や髪、筋肉や内臓、免疫細胞などからだをつくる材料です。
筋肉量が減少すると太りやすい体質になったり、免疫細胞が働かないと風邪を引きやすくなったり、新型栄養失調の中でも、たんぱく質不足が招く影響は大きいです。
好きなものを好きな時に自由に食べられる飽食の時代において、新型栄養失調にならないためには、自分自身の体を作る“食事”に関心を持つことがまず大事です。